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◯作品データ 公開日:1956年5月3日(東宝) 同時上映:青い芽(鈴木英夫) 尺数:10巻2675米 スタッフ 監督:成瀬巳喜男/製作:藤本真澄+金子正且/脚本:井手俊郎/撮影:玉井正夫/美術:中古智/録音:藤好昌生/照明:石井長四郎/音楽:斎藤一郎 キャスト 富田こう(三好栄子)同 信二(小林桂樹)同 喜代子(高峰秀子)同 澄子(根岸明美)同 善一(千秋実)同 かほる(中北千枝子)同 瑠美子(松山奈津子)国夫(田中春男)定子(花井蘭子)竹村弓子(杉葉子)同 健吉(三船敏郎)格太郎(加東大介)波子(沢村貞子)福子(北川町子)すゞめ(北野八代子)小花(塩沢登代路)たね(本間文子)庄太郎(土屋嘉男)芳子(河美智子)渡辺(桜井巨郎)安田(堤康八)田村(瀬良明)佐山(松尾文人)建築技師(佐田豊)番頭(河崎堅男) ※日本映画紹介(映画旬刊1956年5月下旬号)を参考にした ◯封切成績 キネマ旬報1956年6月上旬号「4月第5・5月第1週東京三地区内外封切映画成績表」より 妻の心(5.3~5.9) 日本劇場 4万8175人 750万6059円 68.7% 浅草宝塚 1万3934人 149万5427円 47.4% 妻の心 青い芽(5.3~5.9) 新宿文化 1万6397人 173万1467円 54.5% 同「都内・興行景況―四月五週・五月一週―」より (略)五月第一週は、松竹系「白い魔魚」「ホガラカさん・前篇」が二位の日活「雑居家族」「力動山の世界征服」を大きく引きはなし、圧勝。大映系の「火花」は前週ヒットの「残菊物語」にロングカヴァされて三位、次いで「父子鷹」「ヒマラヤの魔王・二部」の東映系が続き、東宝系「妻の心」「青い芽」は意外に伸び悩み五位の成績、新東宝系「続君ひとすじに」「腰抜け剣豪二刀流」は最下位。シノギをけずったゴールデン・ウィークはかくて終ったが、今年の特長は例年に比べて二、三割方動員が落ちたこと、色彩映画が圧倒的な強みをみせたこと、従来こういう週間には子供層に支持されて絶対であった錦之助、千代之介ものが意外に不振であったことなどであった。(略) 映画年鑑1957年「邦・洋画封切興信録」より 妻の心・青い芽 東宝 1万3674人 145万6466円 浅草宝塚 ◯シナリオ キネマ旬報1956年5月上旬号 ◯同時代批評 日本映画批評 妻の心(小菅春生・キネマ旬報1956年6月上旬号) 日本映画の二つの面 「妻の心」と「雑居家族」(映画旬刊1956年6月上旬号) 妻の心(杉山平一・映画評論1956年6月号) 作品研究 妻の心(荻昌弘・映画芸術1956年7月号) モラルの日常性 成瀬巳喜男の郷愁(福田定良・映画芸術1956年9月号) 新人論壇 小市民への子守唄 成瀬の「妻の心」(ささき・くに・映画芸術1956年10月号) ◯受賞 第11回毎日映画コンクール 女優助演賞:沢村貞子(赤線地帯、太陽とバラ、現代の欲望、妻の心) ◯井手俊郎の述懐 「妻の心」というのもあった。 これは今思い出してもなさけない。僕は妻の心も良人の心も何にもさっぱりわかっちゃいないってことを一〇〇パーセント露呈して我ながら絶望してしまった。 今までも何回かの経験では、離婚はとても出来そうにないので、現実の社会では割合と離婚話も見聞きするけれど、映画の中ではとても離婚話なんかやらして貰えそうにもないので、多分それは僕のシナリオが下手糞だからにちがいないし、もう少しシナリオの書き方が上手になったら、もしかしたらやらしてもらえるかもしれないけれど、僕は人間が四十すぎてから、何かその人の技術みたいなもんが進歩したりうまくなるなんてことは多分あり得ないと信じきっているので、僕のシナリオ技術が今より下手になることはあっても上手になることはないと思うので、そうすると恐らく永久に離婚をテーマにしたシナリオは書けないということになる。 離婚ができないとすれば、せめて姦通をさしてもらえないだろうか。「茶色の眼」即ち「妻」は良人が姦通する話だった。良人の場合は姦通と言わないのかな? つまり良人が妻以外の女と出来ちゃう話だった。良人の情事は割合と簡単にやらしてもらえる。ところが妻の情事、即ち姦通はこれがまたなかなか映画ではやらしてもらえない。メロドラマの中のヒロインではない、傍役の悪妻かなんかだったらそうでもないけれど、ホームドラマの女主人公である妻の場合はなかなかむつかしい。よく知らないけれど、近松門左衛門の「堀川波之鼓」と「か大経師昔暦」とかいう芝居は姦通ものらしいけど、現代劇ではなかなか姦通できないのは、多分シナリオライターが近松よりも下手なせいにちがいない。 「妻の心」で大それた望みだが姦通はできなくてもせめて、妻が良人以外の男に心を移し、間違いは犯さないがまた良人のところへ帰って来る話を書いてみたいと思った。 それも妻の心が他の男に移ったのを良人が知ってやきもちをやいて、おしまいには妻を許してめでたしめでたしなどというんではやっぱり胃がすっきりしそうにもないので、良人以外の男を二人置いて、妻はほんとに好きな男Aに対してはそっけない態度をとっている。好きでもなんでもない男Bとはやましいところがないから、チャラチャラ仲よくしている。浅はかな良人は妻と男Bの間を疑う。良人の視線はBの方へばかり行ってるすきに、妻は男Aに口説かれるが、寸前で妻はやっぱり良人のもとへ帰って来る。良人はそのことは何にもしらない。 そういうシナリオを書いたんだけど、どうにも下手糞なシナリオで、そんなややこしい話はやめなさい。やっぱり素直に良人、妻、もう一人の男と三人だけのつまりよくある三角関係を書いた方がいいいというんでそういうの書いたんだけど、そういう単純な人間関係では、日本の家庭の奥さんの場合、とても他の男を好きになったりするなんてことが物凄くむつかしい。全然僕の手になんか負えない。良人が感ずいてやきもちをやけば、ますます妻は他の男のことなんか振り向くこともできない。良人が全然知らないことにすれば、良人があんまりのんきすぎるし、妻が悪くなりすぎる。 四苦八苦の末、結局、妻は他の男を好きなんだか嫌いなんだかさっぱりわからないまま、即ち妻の心なんかさっぱりわからない「妻の心」になってしまって、今考えてもこんなシナリオを映画にして下さったスタッフの方に恥かしくて死にたくなる。(下線部原文ママ/「「妻として女として」のシナリオ・ライターとして」シナリオ1961年5月号) 井手 『妻の心』も誰もやる人がいなくて、また僕がやれと言われてね。デコちゃんが主演だから松山さんに頼んだら、忙しいと言われて、全部、一人でやった。でも、成瀬さんは半分くらい直してきたから、僕はまた全部書き直した。それで僕は、「このおっちゃんとはもうやれないな」と思った時がありましたよ。それでこのあいだ、見返したけど、やっぱりつまらない作品でしたね。 あれは東京の街じゃなくて、千葉とか群馬を舞台にしたものがやりたくて桐生へ行ったら、そこが気に入ったんですね。それで僕は本当は佐分利信さんを入れて、単身赴任した男とデコちゃんが精神的姦通をする話にしたかったんです。それで、みんな三船敏郎とデコちゃんが怪しいと思っている。亭主の小林桂樹もそう思ってる。でも、本当は三船の友だちの佐分利信とデコちゃんのほうがカレー・ライスなんか食べて心を通わせている。そのうち三船がそれに気づくのね、「俺をダシにして」と。それで三船は亭主に責められると、「俺はなんでもない」と言って、佐分利信のことは絶対口に出さない。それでも亭主が信用しないから、「だったら、本当にもらうぞ」と逆に脅しをかける。最後は三船と佐分利信がカレー・ライスを食べて、言外のそういうことを匂わせて、新聞か何かを置いて終りにする。そういう芝居を書きたかったんです。ウイリアム・ワイラーの『噂の二人』(一九六一年)みたいなね。でも、そういうのは日本人に受けないんですよ。それで、もう成瀬さんとはやれないと思いましたね。(「いつも揉めていた成瀬巳喜男との仕事」村川英・編『成瀬巳喜男演出術 役者が語る演技の現場』・ワイズ出版・1997年7月1日発行) ◯参考資料 ”妻の心” と ”ならず者”(東宝1956年4月号) 日本映画紹介 妻の心(キネマ旬報1956年5月上旬号) 妻の心(キネマ旬報1956年5月上旬号) ※グラビア紹介。 「妻の心」を演出中の成瀬巳喜男(映画旬刊1956年5月上旬号) 妻の心(映画旬刊1956年5月上旬号) ※グラビア紹介。 ローカルカラア 祟られた“妻の心”(映画旬刊1956年5月下旬号) 妻の心(東宝1956年5月号) ※グラビア紹介。 「妻もの」映画の流行と「或る夜ふたたび」(キネマ旬報1956年6月上旬号) 時言 ゴールデンウィークは存在せず(映画旬刊1956年6月上旬号) 茶の間から出た「妻の心」―この一途なるもの―(婦人倶楽部1956年6月号) 活躍する巨匠 話題の日本映画(映画芸術1956年6月号) ※グラビア紹介。 1956年封切日本映画一覧表(キネマ旬報1957年2月上旬号) 映画年鑑1957年版
by vince_et_marcel
| 2019-09-11 23:20
| 研究
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